マンガ家こそブランディングを意識した方が良い理由①
マンガ家として売れるためには、様々なハードルを乗り越えなければいけません。どのようにすれば、色々なハードルを乗り越えることができるのか。そのヒントがブランディングです。
ブランディングという耳慣れない言葉、マンガ家とは縁遠いものと思っていませんか?
実際には、マンガ家こそブランディングが大事であり、マンガ家にブランディングについて相談すると違った視点を取り入れることが出来るかもしれません。
現在、X(旧Twitter)では日々数多くのマンガが新旧問わずタイムラインに流れてきます。電車や屋内施設で座席を見ると、スマートフォンで待ち時間にアニメやマンガを見ている人が数多く見受けられます。
小学生〜高校生にどんなマンガやアニメを見ているかを聞くと、非常にバラエティに富んだ答えが返ってきます。
そんな中で、どんな特徴の漫画家がいて、どんな絵を描いているのか、覚えてもらうのは至難の業です。そこで、「私は何者なのか」を知ってもらう必要があります。
漫画家は現在「夢を売る」仕事になっていると思います。読者が作品を通して、情緒的な価値を感じ、作品やそれに付随した商品を買い求めることで、作品・キャラの「推し」が増えています。それは、漫画を読むことで、夢を感じられるからです。
漫画作品が取り上げる場所を「聖地」として、観光ツーリズムに生かす事例もあります。例えば、「だがしかし」というマンガで登場する駄菓子屋さんを実際に再現した場所は、一つの観光スポットになっていたりします。
では、どんな情緒的な価値を読者に伝えたいのか、が、マンガ家が考えなくてはいけないことであり、それは取りも直さず、ブランディングについて考えることなのです。
そう考えて、私はロゴ、HPを刷新し、「目指すところ」というページに、個人のミッションステートメントを書きました。
これまで、数年間、いろいろなマンガを描いてみました。少しバズったこともありましたが、SNSをそこまで活発に使っていない今の方がお仕事をもらえています。
以前、東京オリンピックの際に、卓球選手に関するマンガを描いたのですが、バズりを意識すると、すぐに楽しめるコンテンツを求められる気がして、段々辛くなっていく気がしました。私はもっと深く愛されるコンテンツを作りたかったのだと思いました。
私はマンガやイラストを描いている時、感極まって泣いてしまうことがあります。そのたびに、「ああ、これだけの思いを内に秘めていたんだな」と実感します。もし、その内なる思いを、売り込むために否定したり、隠したりすると、どうなるでしょうか?
結局のところ、何を目指すのかを明確に決めることが、「描いているうちに辛くなる」現象を止める唯一の手段ではないかと考えました。
どうすれば、売り込まずに売れるようになるのか、を考えて行った末に、マーケティングの視点を取り入れる必要があることが分かってきました。
そして、自然と売れるには、印象を決めるロゴや使用する色、自分の目指すものを表現するキーワードを決める必要がある。私はそれがブランディングだと捉えています。
HubSpotのブログに分かり易い紹介記事が掲載されています。
「ブランディング」の本来の意味とは?取り組むメリットや代表的な手法を徹底解説
「真面目にコツコツ一番大事なメッセージを掘り起こし、絵でそれを表現する」ことが、一番やりたいことだと感じ、人それぞれ内に秘めたストーリーを表現するために、「Find Your 1st Star」というキーフレーズが思い浮かびました。
壮大な視点になりますが、みんな一人一人が、生まれる前の歴史が脈々と続いていて、辿っていくと一つの星から始まっていたとしたら?
自分の一番最初の思いが超新星爆発し、今に至っているとしたら、その爆発の際の輝きを辿っていく必要があります。ある種ブランド価値を捉えることに近いかも知れません。
それはタイムラインを追っているだけでは決して辿り着かないのです。
今回は、漫画家個人の視点から、ブランディングの意義について考察してきましたが、企業の経営にフォーカスし、企業のブランドをストーリーで的確に表現することが出来れば、それはBtoBのビジネスになり得ます。
次回は、マンガ家のストーリー構成力がブランドストーリーに寄与することを述べていきます。